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黒字倒産を負債返済を例に判り易く解説

06:中小企業診断士試験

黒字倒産とは、利益が出ているのに資金繰りが悪くて倒産することです。これはどうして起こるのでしょうか?一般的な原因は、負債返済に追われていることです。

▼まず利益が出ている状況からスタートします。利益とキャッシュフローについては詳しくは前回の記事を参照ください。

減価償却とキャッシュフローの関係を超判り易く
今回は、減価償却について見ていきましょう。減価償却とは、資産の価値が経年劣化や使用によって減少することを会計上で反映する方法です。減価償却のメリットは、以下のようになります。 減価償却のメリット ・資産の価値が正しく評価される・利益が過大に...

▼この例では税引き後利益が100万円、キャッシュフローが370万円も出ていますよね。「あれ、負債の返済って損益計算書で費用に分類されてるから利益が出てるって事は負債の返済もできてるって事じゃないの?」って思いませんか?

実は違うのです。利益は売上から営業活動にかかった費用を引いた物です。でも負債の返済は営業活動では無いので、負債の返済は損益計算書の費用には計上されません。負債は利益と手元資金を元に返済するのです。損益計算書に計上されるのは利息だけです。

▼前年度貸借対照表へ、キャッシュフロー370万円と減価償却300万円を反映してみます。※実際はキャッシュフローの金額がそのまま資産に加算されるとは限りませんが、判り易くするための事例としています。

負債返済とは、借金やローンなどのお金を返すことです。例えば、ある会社が事業拡大のために大きな借金をしたとします。その借金の毎月の返済額が大きいとします。その会社は売上が増えて利益も出ているのに、借金の返済にお金が消えてしまいます。その結果、経営資金が不足してしまい、給料や仕入れ代などの支払いができなくなります。これが黒字倒産の典型的なパターンです。

▼さてここで570万円の負債の返済期限が来たとします。手元にあるキャッシュの370万円では返済しきれずに300万円は返済できません。

貸し手が強気なら固定資産の売却にも迫られる事もあり得ます。そうしたらもう営業できません。借り換えをしようにも誰も貸してくれないかもしれません。そうすると経営破綻で倒産となってしまいます。

黒字倒産を防ぐには、どうすればいいでしょうか?まず、負債返済の計画を立てることが大切です。借金の総額や利息、返済期間などを把握して、毎月の返済額を決めましょう。そして、返済額を売上や利益から差し引いた残りのお金を経営資金として使いましょう。もし、返済額が高すぎて経営資金が足りない場合は、借り換えや債務整理などの方法を検討しましょう。これらの方法は、借金の総額や利息を減らしたり、返済期間を延ばしたりすることで、返済負担を軽くすることができます。

黒字倒産は、見かけ上は成功しているように見える会社でも起こり得る危険な現象です。負債返済に注意して、賢く経営することが必要です。

▼令和5年中小企業白書に面白い事例が載っていたので、黒字倒産を防ぎ事業承継を行った事例として引用します。(白書全文の559頁です)

https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2023/PDF/chusho/00Hakusyo_zentai.pdf#page=559

その他、中小企業診断士の勉強に役立つ筆者の投稿です。よろしければご参照ください。
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ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

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